現在、「トーマス街を出る」は前・中・後3編合わせると、毎日500~600回再生されている。さらにその勢いは今なお加速している。
なぜ、この「トーマス」が世界中で見られるのだろう?
これから何回かに分けて、コラムと仮想インタビューでせまりたい。
コラム アバウト トーマス
◎三部作はスターウォーズから
実は最初の脚本には、中編のすべてと後篇のサーカスのシーンはなかった。
脚本を前から撮りだして、止まったところで前篇としてアップした。なぜ止まったかというと、結末をどうしたらよいか決めかねたからだ。
(最初の脚本では、トーマスが目的地に着く前に動けなくなり、気がつくとその目的地が元の姫路の街だった、というものだった。)
前篇の再生回数が予想以上に伸びてきたので、脚本を書き足して、中編を作ることにした。必然的に三部作ということになり、三部作といえばスターウォーズでしょ!多分言われても誰も分からないと思うが、私の中では中編はクラッシック三部作の二作目「Ⅴ 帝国の逆襲」を、後篇は新三部作の三作目「Ⅲ」を意識して作った。
意識するのは自由だと思うしなによりタダなのがいい。君も遠慮なく「あほか」と思ってくれたまえ。
◎エミリーの死
トーマスは思春期の少年であり、エミリーはなぜだか彼を世話してくれるという少年期の理想の女の子だ。(このあたりはブライアン・ウィルソンの影響あり。)
で、とにかくどうやって撮ればいいのか、ずっと悩んだのはエミリーが死ぬシーンだ。
ちゃんと映像で表現したいし、クライマックスやから盛り上げたいし、ということで顔を落とそう、と決めた。(昆虫とか死ぬと顔がぽろっと落ちるし。)
でも大人の道楽で、子供の玩具を壊すのはいかがなものか、と悩んだわけです。
で、作ったのがこの装置だ。
黄色い空箱にエミリーの写真を貼って、顔の部分を丸く切りぬく。黒い鉛筆立てを反対側から入れることで、穴は真っ黒に映る。少しずつ顔をずらしてコマ撮りした。上のチューブは煙を送り出すためのもの。もう10年以上タバコを吸わない のに、煙を口に含んで送り出しながら、カメラを回した。
顔が落ちる時の音は、最初うちの裏庭にあるヨド物置を閉める時の音を録るつもりだったが、パソコンを庭に出して、マイクをセットするのが隣近所の人に見られると恥ずかしいのでやめて、ビールのアルミ缶をテーブルに落として録った。チープになってしまい、少し悔やまれる。
「このシーンどうしょかなあ」と考えるのはすごく楽しい。仕事の休み時間とかに、しょっちゅう手帳にメモしていた。
◎段ボールセットの製作
撮影セットを組んで、動画を撮りたい、というのが最初にトーマスを撮る動機の一つだった。
材料はすべて段ボール。段ボールは職場のゴミ捨て場に山ほどあるので無料だ。
彩色には前篇、中編では色紙と色鉛筆をおもに使った。息子のを夜中や園に行っている間に勝手に使わしてもらった。後篇では、年長さんに上がって、園でもらってきた水彩絵の具が活躍した。
「オープニング」の姫路の街は完全に子供に遊ばせようと作ったものだ。目の前で作って見せ、多少手伝ってもらった。あとトップハムハット卿の帽子が少し黄色いのも、息子が塗ったからだ。
セットを作るのもとても楽しい。「箱庭治療」の癒しがある。ただ映像として今見るとかなり不満足だ。次回はもっとうまくやれると思う。
◎奥さん待ちのアフレコ
作品の完成の前に立ちはだかった壁として、エミリーのアフレコがあった。
とにかく非協力的なのだ。「前篇」時、一番最初のセリフをアフレコした時、私の演出がカンに障ったのか、その後からが大変だった。ふきこんだ後聞きなおそうとすると、
「もうええから、次!」
といわれる。一発OKしかしょうがない。なんだかしらんが異常な緊張が走る。中編、後篇もなかなか「忙しいから」と応じてもらえず、一度
「10分やったら時間あるよ」
と言われたこともある。大物政治家かよ!と心の中で叫びましたよ。降ろすぞ!とも思ったが、代役を頼める人もなく、じっと我慢の子だ。
この問題がなければ、後篇の公開は1カ月以上早まったはずだ。
映画はやっぱ魔物だ、常に予期せぬトラブルが発生する。
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